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食と農業

日本の
「食料自給率」
を解説

日本の食料自給率の推移や問題点、
その対策を易しく解説します!

2019年6月14日更新

意外と知らない!
日本の食料自給率って何が問題なの?

「食料自給率」という言葉は聞いたことがあっても、詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。また、日本の食料自給率が他の国に比べて低いという事を知っている方は多いと思いますが、どれくらい低いかはご存知でしょうか?
ずばり、日本の食料自給率は38%(2017年度)です。単純に考えると、私たち日本人は食べ物の62%を輸入に頼っていることになります。

しかし、この数字には意外と知られていない食料自給率のカラクリも絡んできます。
今回は日本の食料自給率の定義や推移、世界との比較、問題点やその対策などを易しく解説します!

01そもそも「食料自給率」とは?

「食料自給率」とは『国内の食料消費が、国産でどの程度賄えているかを示す指標』です。
簡単に言うと、国内の食べ物全体の内、どのくらい国内で作っているかを示す割合のことです。

食料自給率には総合食料自給率と品目別自給率の2種類がありますが、基本的には食料自給率=総合食料自給率のことを指します。
また、総合食料自給率は熱量で計算する「カロリーベース」と、金額で計算する「生産額ベース」がありますが、日本は2つの基準とも長期的に低下しています。

カロリーベース

食べ物のカロリー=熱量を使って食料自給率を計算する方法です。日本の食料自給率は、基本的にこの「カロリーベース」で計算された数字が採用されています。 国民1人に1日で供給される“国産の食べ物”の熱量を、国民1人に1日で供給される“食べ物全体”の熱量で割り算します。

カロリーベース総合食料自給率 カロリーベース総合食料自給率
出典:食料自給率とは:農林水産省

生産額ベース

食べ物の価格を使って食料自給率を計算する方法です。

生産額ベース総合食料自給率 生産額ベース総合食料自給率
出典:食料自給率とは:農林水産省

02日本の食料自給率-推移-

資料:農林水産省『総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等』より作成

戦後直後の1946年度(昭和21年度)、日本の食料自給率は88%でした。ところがゆるやかに下がり始め、平成に入ると50%を割り込み、2000年代は40%前後でほぼ横ばいに推移しています。
2017年度には38%まで下がっていますが、政府は2025年には45%まで引き上げることを目標に掲げています。

戦前は国内生産が主な米・野菜などを使った食事が中心でしたが、戦後の復興に伴い食生活が欧米風に変化していきました。国内生産が少なく、外国からの輸入頼りの小麦を使ったパン、飼料や原料の多くを輸入に頼る畜産物(肉類)や油脂類の消費が増加したのです。
日本の食料自給率の低下には、こうした“食生活の変化”が大きな影響を与えています。

03日本の食料自給率-品目別-

資料:農林水産省『総合食料自給率(カロリー・生産額)、品目別自給率等』より作成

主要な食品の品目別食料自給率です。(2017年度概算)
米(主食用)は100%、いも・野菜・きのこ類も高い数値ですが、それ以外は低い数値となっており、総合食料自給率は38%となります。

日本の食料自給率の特徴として、飼料用を含む穀物全体の自給率の低さが挙げられます。これは畜産物(肉・卵・乳製品)に影響を与えます。
上の表で牛肉の自給率は36%ですが、輸入に頼っている外国産飼料で育ったものを除外すると、自給率は10%にまで下がります。豚肉49%、鶏肉64%、鶏卵96%、牛乳・乳製品60%ですが、同様に外国産飼料で育てられたものを除外すると、それぞれ6%、8%、12%、26%と著しく低下します。

畜産物の生産には、その何倍もの飼料穀物を家畜に与える必要があります。例えば、牛肉1㎏の生産にはその10倍にあたる11kgの穀物が必要とも言われています。
戦後、日本で肉の需要が増加したことで急激に穀物需要が増加=穀物の輸入が増えたことも、自給率が低下した大きな一因と言えるでしょう。

04日本と世界の食料自給率比較

日本と世界の食料自給率比較グラフ 日本と世界の食料自給率比較グラフ
資料:農林水産省『平成29年度食料自給率について』より作成

ほかの先進国に比べると、日本の食料自給率は最低の水準となっています。食料自給率トップのカナダはなんと200%を超え、続くオーストラリアやアメリカ、フランスも100%を超えています。
それに比べて日本は38%と低い数値になっており、単純に考えると日本国内の食べ物の6割以上を輸入に頼っていることになります。

しかし、先述の品目別食料自給率で見たように、日本も米は100%、野菜は79%自給しており、全ての食料が輸入に依存している訳ではありません。
また、自給率100%を超える国でも、全ての品目を国産でまかなえているとは限りません。その国の気候によって生産できる・できないものは数多くあり、日本と同じ様に一部の品目についてはほとんど輸入に頼る、といったケースは珍しくないのです。

また、生産額ベースで食料自給率を考えると、日本とほか先進国との差は少なくなります。

ポイント!

「日本の食料自給率は38%」「先進国の中でもダントツの最下位」と単純に考えるのではなく、食料自給率には様々な指標・見方があると覚えておいた方が良いでしょう。

日本と世界では食料自給率の考え方が違う!?

日本で採用されているのは「カロリーベース」の食料自給率であることは先述しましたが、主要先進国をはじめ、国際的に主流となっているのは「生産額ベース」の食料自給率なんです。
この2つの基準の違いを、日本で自給率が高い「野菜」を例に考えてみます。野菜は低カロリーなので、国産の割合が多いにも関わらず、カロリーベースの計算では食料自給率の増加にはあまり貢献しません。しかし、生産額ベースでは野菜の割合は全体の20%を超えており、食料自給率の増加に大きく貢献します。
実は食料自給率の低下がメディアなどで叫ばれるのと同時に、国内の専門家の間では「なぜ日本だけカロリーベースを採用しているのか?」「他国と同じように生産額ベースの自給率を重視すべきである」という声が上がっているのです。

05日本の食料自給率-問題点と対策-

日本の食料自給率が38%という数字は、多くの日本人にインパクトや危機感を与えています。
世界中で見られる異常気象や天候不順、あるいは国際情勢など何らかの理由で外国からの輸入が途絶えてしてしまった時、私たち日本人の食生活は大きな影響を受けてしまいます。
また、爆発的な世界の人口増加により、地球規模での食料不足を懸念する声も上がっています。

日本は複数の国・地域と貿易をしているので、食料輸入の一部が途絶えたとしても完全に途絶える可能性は相当低いですし、地球規模での食料不足も今すぐに起こるわけではありません。
だからといって、このまま見過ごすこともできません。
一人一人が問題意識を持ち、政府・企業・消費者それぞれの立場で出来ることから取り組むことが食料自給率アップの第一歩となります。食料自給率向上には様々な角度からの対策が必要ですが、ここでは私たち消費者にも身近な対策をピックアップしてご紹介します。

対策1耕作放棄地の利用

日本の人口の多さは世界でも上位ですが、国土面積は約7割を森林が占め、農地として利用できる面積が限られていることから、1人当たり農地面積は3.6a(オーストラリアの約500分の1、アメリカの約40分の1、イギリスの約8分の1)と諸外国より小さくなっています。
元々小さい日本の農地面積ですが、近年は宅地等への転用や耕作放棄地の増加により、農地面積が最大であった昭和36年に比べて約25%減少していると言われています。
限られた農地を最大限に活用するために、まずは耕作放棄地を蘇らせることが大切です。

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対策2農業生産力の向上

農業を仕事にする人は、農村部から都市部への人口流出等によりこの50年間 で約700万人減少(マイナス81%)しました。さらに、農業を仕事にする人の平均年齢は67歳(2017年時点)と高齢化が進んでおり、このままではさらなる減少が見込まれます。
新規就農への支援制度を充実させたり、農業法人への就職を促進させるなど、行政・民間問わず人材確保への取り組みが緊急の課題となっています。

また人材確保と同時に、少ない人員でも生産量を増やせるように従来の農作業を省力化&効率化していく取り組みも必須です。
ロボット技術やICT(情報通信技術)、人工知能(AI)等の先端技術を活用し、省力化や生産物の品質向上を可能にする「スマート農業」が注目されています。

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対策3地産地消

私たちが住んでいる地域には、その土地の気候・地形等の環境に適した食べ物が育ちます。一人一人が地元で採れた食料を食べる「地産地消」の取り組みが、食料自給率を上げることにもつながります。
例えば、東北地方は全国平均に比べて高い食料自給率を誇っています。秋田県は東京の約200倍の食料自給率となっています。

資料:農林水産省『平成28年度(概算値)の都道府県別食料自給率』より作成

もちろん田舎と都市部によって農業生産量は変わってきますので、大都市にお住まいで地産地消が難しい方は、例えば普段食べるパンを、輸入がメインの小麦のパンではなく「国産米粉パン」に変えるなど、まずは「国産」から意識してみてはいかがでしょうか。

対策4食べ残しを減らす

食べ残しを減らす努力をすることはとても大切です。
日本は食料輸入が増加する一方で、食料廃棄も増えています。約60%の食料を輸入に頼っている一方、スーパーなどの賞味期限切れの商品や、飲食店や家での食べ残しなどを大量に捨てています。
その量、なんと年間1900万トン。供給される食料の25%以上を廃棄していると言われています。
日本国際飢餓対策機構によると、いま飢餓で苦しんでいる人の数は全世界で約10億人。世界の7人に1人、アフリカでは3人に1人が飢餓の状態です。
わたしたち日本人は食料自給率に限らず、『食』に対する考えを改めなければいけないのではないでしょうか。

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