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食と農業

しぼった乳は一体

どこへ行くの?

意外と知らない、
乳の行方を徹底追究!

2020年11月10日更新

乳の行方を図解を交えて

説明します。
そこから見える

新たな乳の世界とは!

生乳と牛乳。似ている言葉ですが、その違いをご存じですか?
生乳とは、牧場の牛から搾乳されたばかりの、まだ殺菌も加工も施されていない状態の乳のこと。生乳を原料に、牛乳、バター、チーズ、ヨーグルトなどさまざまな乳製品が作られます。
さて、その生乳は牧場からどのように乳業メーカーに渡り、私たちの食卓に届くのでしょうか。価格はどのように決まるのでしょう。
今回は、そんなちょっと知っておきたい乳の世界を紹介していきます。

01牛乳が食卓に届くまで

1.1 生乳が「牛乳」として売られるまで

牧場で搾乳された生乳は、各牧場を回る専用タンクローリー車で毎日集められ、乳業工場に運ばれます。この時に最も注意を払わなければならないのが鮮度の保持。 牧場から工場までの移動中も常に低温に保たれます。無事に乳業工場に到着し殺菌された後、生乳は「牛乳」として市場に出回るのです。
生乳が「牛乳」として売られるまで 生乳が「牛乳」として売られるまで 牧場と大手乳業メーカーはお互いがっちり手を組む取引関係にありますが、個人経営が多数を占める酪農業界で、一体どのような生乳取引が行われているのでしょう。個人経営の牧場さんが大企業相手に取引するのは、とても大変そうなのですが…。

1.2 生乳の取引ってどのように行われているの?

実は、生乳取引では、指定生産者団体(以下、指定団体)と呼ばれる組織が牧場と大手乳業メーカーの間に入って取引を代行し、価格交渉から生乳の配送まで行っているのです。
この交渉で決まる価格はとても重要。なぜなら、その価格が私たちが店頭で購入する牛乳、学校給食、その他乳製品にまで及び、消費者にも広く影響を与えるからです。

生乳取引の流れ 生乳取引の流れ
出典:農林水産省「指定生乳生産者団体制度について」

上の生乳取引の図をみてください。指定団体が取引を代行せず、牧場と乳業メーカーがダイレクトに行う取引もあります。ただ、実際は日本の生乳取引の大部分は、指定団体によるものと言ってよいでしょう。
価格の決め方は国の補助制度もあり、その仕組みはかなり複雑です。

生乳取引価格(総合乳価)の推移 生乳取引価格(総合乳価)の推移
出典:農林水産省「総合乳価の推移」

こちらのグラフは生乳取引価格の推移です。最近は微増でとどまっていますが、ここ数年は右肩上がりで上昇。為替相場と連動して飼料価格が高騰するなど、生乳価格は社会経済の影響を大きく受けることがわかります。

しかし、日本中の牧場が連動して、生乳の生産量を増やしたり減らしたりして、市場価格をコントロールすることなど簡単にはできません。
牛をお乳が出るまでに育て上げるには育成〜妊娠〜出産と長い時間が必要で、一時的な需要の低下で生産量を減らしてしまうと、需要が回復してもすぐ元の状態に戻すことは難しいのです。牛は機械とは違うんですね。

プレミアム販売されている牛乳
酪農の牛といえば、真っ先に思い浮かべるのは白と黒模様のホルスタイン種ではないでしょうか。
でも、茶色っぽい体毛のジャージー牛など、乳牛にはいろんな品種がいるんですよ。ちなみに日本であまり飼育されていないジャージー牛の牛乳は、栄養価の高さから高値で取引されています。あなたの街にも特色あるご当地牛乳やプレミアム販売されている牛乳がありませんか?ぜひ探してみてくださいね。

プレミアム販売されている牛乳

02乳製品の可能性

2.1 生乳から生まれるさまざまな乳製品

生乳から作られる製品は、牛乳だけでも「特別牛乳」「低脂肪乳」「成分無調整牛乳」など多岐にわたります。さらにバター、チーズ、ヨーグルトなどの形に変わり、私たちの食生活を豊かにしてくれます。
実は食品だけに限らず、牛乳に含まれるガゼインというタンパク質からは生分解性プラスチックも作り出すことができ、これを原料に衣服のボタンやアクセサリーなどが作られています。
1頭の牛から生まれるミルクには、たくさんの可能性が秘められているんですね。

生乳から生まれるさまざまな乳製品 生乳から生まれるさまざまな乳製品

2.2 アジア諸国に広がる日本の粉ミルク

日本の牛乳・乳製品は、アジアを中心に海外にも販売されています。
過去5年の輸出実績は順調に伸びています。(グラフ参照)

牛乳・乳製品の輸出先 牛乳・乳製品の輸出先
出典:財務省「貿易統計」を基に農林⽔産省作成

牛乳・乳製品の輸出実績 牛乳・乳製品の輸出実績
出典:財務省「貿易統計」を基に農林⽔産省作成

近年の主な輸出先のトップはベトナム。次いで、香港、台湾と続きます。特に育児用粉ミルクが人気で、国産より少々高くても子どもに安全なミルクを与えたいという親が、高品質な日本製を信頼し、買い求めているようです。食の安全に向けた日本の牧場の地道な努力は、こうした部分でも評価されているんですね。

03まとめ

まとめ

今回は指定団体による生乳取引の流れをみてきましたが、実際はもう少し複雑で、ここでは紹介できなかった取引や国の補助制度がいろいろあるんです。普段、何気なく飲んでいる牛乳は、実に多くの組織、人たちが関わって私たちの食卓に届けられていたんですね。
そして、高品質で海外からも評価が高い日本の乳製品。輸送や保管の仕組みが向上すれば、海外への販売網もどんどん広がっていくでしょう。
酪農業界、食品業界に興味がある方は業界独特の生乳取引について、ぜひご自身でも調べてみてはいかがでしょうか。

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参考:一般社団法人Jミルク (https://www.j-milk.jp/)、農林水産省「指定生乳生産者団体制度」資料

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