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食と農業

ベジタリアンや
ビーガンの違い

実は沢山の種類がある
“菜食主義のスタイル”を徹底解説!

2019年9月11日更新

ベジタリアンやビーガン、マクロビの意味・違いやその背景を解説します!

ベジタリアンと聞くと「肉や魚を食べず、野菜だけを食べる人」というイメージがすぐに浮かぶと思いますが、最近よく聞く『ビーガン(ヴィーガン)』にはどのようなイメージがありますか?
先に言ってしまうと、ベジタリアンもビーガンも“菜食主義者”という大きなくくりでは同じものです。しかし実際には食べるものや考え方・背景が異なるので、ベジタリアンとビーガンは似て非なるものと言われています。
また『マクロビ(マクロビオティック)』も最近よく聞く言葉で、ベジタリアンやビーガンと並列の言葉と思っている方も多いと思いますが、マクロビに関しては別物と考えるのが正解でしょう。

「食」は誰にも欠かせない大切なもの。会話の中で食に関する話題があがることも多いですよね。多様化する食生活のスタイルを知ることは、自分の食生活を見直すためにも、他人とコミュニケーションを取るうえでも大切です。ぜひ今回の内容を今後の生活にも役立ててくださいね!

01ベジタリアンとビーガン(ヴィーガン)

ベジタリアンとは?

ベジタリアンとビーガン(ヴィーガン)

ベジタリアン(英:Vegetarian)とは「菜食主義者」の総称です。ベジタリアンと一口に言っても実は様々なタイプに分けられるため、その定義は難しいのですが、一般的には「肉・魚を食べずに植物性食品を食べる人」と言われています。(植物性食品=野菜、果実、穀物、豆、海藻、きのこ等)

約170年前の1847年に発足した英国ベジタリアン協会で初めて使われた言葉と言われており、ラテン語で「健全な」「活力のある」という意味のVegetus(ベジェトゥス)が語源だそうです。(ベジタブル=野菜が語源ではないのですね!)

アレルギーや病気のため、宗教のため、健康のため、地球環境のため、スピリチュアルな理由など、ベジタリアンになる背景は人によって様々です。そのため、口にするモノの制限の違いによってタイプが分けられています。ここでは代表的な3つのタイプをご紹介します。

ラクト・ベジタリアン
×肉、魚、卵は食べない 〇乳製品、植物性食品は食べる(ラクト=乳)

ラクト・オボ・ベジタリアン
×肉、魚は食べない 〇卵、乳製品、植物性食品は食べる→欧米のベジタリアンの大半はこのタイプ

ペスコ・ベジタリアン
×肉は食べない 〇魚、卵、乳製品、植物性食品は食べる

ビーガン(ヴィーガン)とは?

ビーガン(ヴィーガン)(訳:Vegan)の別名ピュア・ベジタリアンとも呼ばれています。つまり、ビーガンはベジタリアンの一種なのです。
ベジタリアンは様々なタイプがある菜食主義者の“総称”ですが、ビーガンは肉・魚のほか、卵や乳製品・蜂蜜も含む動物性食品を一切口にしない「完全菜食主義者」のことを言います。ビーガンは1994年に、ベジタリアンと同じく英国で発祥した言葉と言われています。

さらに、ビーガンの人達は食生活だけではなく、服飾品や家具など、衣食住すべてから動物性の素材(レザーや毛皮等)を避けることで動物の命を尊重することが特徴です。(エシカル・ビーガンとも呼ばれます。)

ベジタリアンとビーガンの違い

カテゴリー ベジタリアン ビーガン
× ×
× ×
牛乳 ×
鶏卵 ×
蜂蜜 ×

ベジタリアンとビーガンは混同されることが多いですが、ベジタリアンは“体の健康”、ビーガンは“心の健康”を重視している方が多い印象を受けます。また、いきなりビーガンになる人よりも、ベジタリアンから徐々にビーガンになる人が多いそうです。

徹底した菜食主義のビーガンには「一切の動物を搾取・苦しめることなく生きる」という考えがあります。ベジタリアンと違い卵や乳製品も食べないのは、それを生み出す鶏や牛の苦しみや、早死にのリスクを取り除きたいという思いからです。
食生活にとどまらない、生き方のスタイルでもあるビーガンの根底にあるのは、動物愛護の精神です。ここが健康志向であるベジタリアンとの違いと言えるでしょう。

日本古来の「精進料理」はビーガン料理!?

精進料理

精進料理とは仏教の戒律が基となる料理です。必要のない殺生を避けてすべての命への感謝することと、煩悩への刺激をさけることが主な目的となっています。
生臭物(動物性の食物)を使用せず、野菜、果実、穀物、豆、海藻、きのこ等の植物性の食物だけを使用するのは、まさにビーガンと同じです。また、時代や地域により違いはありますが、においや刺激が強いものも避けるため、ニンニク、ニラ、ネギなども使用しません。
仏道修行に専念する、つまり精進するためのこの食事は現在、シンプルな健康食として国内外から注目されています。

また、明治維新の頃まで(約150年前)の日本人の食事は米と一汁一菜が基本であり、魚は祝いの席のものでした。ベジタリアンの食生活に近いですよね。
ベジタリアンやビーガンと聞くと「欧米のスタイル」と思う方も多いと思いますが、実は日本人はベジタリアンという概念が生まれるずっと前から、長きにわたりにそれに近い食文化を歩んできたのです。

菜食主義にはこんなスタイルも!

ベジタリアン=菜食主義と言っても、体質や宗教、思想によって食べるものの範囲は様々であることは既に説明しました。ここでは、ベジタリアンの中でもちょっと珍しいスタイルをいくつかご紹介します。

【ノン・ミート・イーター】
動物の肉を食べない人たち。それ以外は制限なく食べる。ちなみに、肉であっても皮や油は食べる。

【ポゥヨゥ・ベジタリアン】
鶏肉以外の肉を食べない人たち。それ以外は制限なく食べる。

【オリエンタル・ベジタリアン】
ビーガン同様動物性のものは一切食べず、さらに五葷(ごくん)と呼ばれるニンニク、ニラ、ラッキョウ、ネギ(玉ネギも含む)、浅葱の五つの植物も食べない人たち。仏教の影響が強く、中華圏、特に台湾で盛ん。素食(中国語でスーシー)とも言われる。日本の精進料理もほぼこれに当てはまる。

【フルータリアン】
フルーツやナッツなど木の実しか食べない人たち。動物に加え、植物の命も大切にする。果実や木の実といった一部取ってもその植物は死なないけれども、根から収穫する野菜などは、その植物が死んでしまうという考え。

【ブレッサリアン(プラーナタリアン)】
まったく食事をしない人たち。光と水からエネルギーのみを吸収して生きていると言われている。

聞いたことがあるスタイルはあったでしょうか?ここに挙げたのはあくまで一部。個人のスタイルに合わせて際限なく分類できそうなので、全てを把握するのは難しいと思います。
筆者の個人的意見ですが、ブレッサリアンの方にお会いしてみたいですね。一時的な断食なら想像できるのですが、日常的にまったく食事をとらずにどのように生きてらっしゃるのか…非常に気になります。

02マクロビ(マクロビオティック)

マクロビ

ビーガン同様、最近になってよく聞かれるようになったマクロビという言葉。詳しく知らないけれど、聞いたことはある、という方が多いのではないでしょうか。
また、ベジタリアンやビーガン同様、ストイックな制限がある食生活のスタイルと思われることも多いのですが、マクロビには絶対NGな食べ物は無いのです。

マクロビ(マクロビオティック)とは?

簡単に言うと、野菜や穀物など植物性食品がベースの「日本の伝統食を摂取する食事法」のことです。主食は基本的には玄米で、副菜として旬の植物性食品を使用したサラダや煮物などを摂り入れます。
つまり、かなり簡単に言ってしまえば「和食」です。言葉の響きからは想像できないですよね。

マクロビの正式名称はマクロビオティック(英:Macrobiotic)。「MACRO(長い)」「BIO(生命)」「TIQUE(術)」という3つの意味からなっており、これらをつなげると『長生きするための方法』となります。
その軸となっているのは、以下の3つの東洋の伝統的な考えです。

・身土不二(その土地の旬のものを食べる)
・一物全体(丸ごと残さず食べる)
・陰陽調和(季節に合わせて温かい・冷たい食べ物を食べる)

これらを総合して、自然と調和(バランス)をとりながら、健康な暮らしを実現するということが基本の理念とされているそうです。
マクロビはアメリカから広まりましたが、実は考案したのは日本人。そのため、東洋的な思想で成り立っているのです。

マクロビとはあくまでバランスの良い食事法・考え方を推奨するものなので、「●●を食べてはいけない」という制限はありません。ベジタリアンと違って動物性食品を避けることが主目的ではなく、健康的な食事法一つとして、動物性食材を避けることを勧めています。そのため動物性食品を完全に禁じているわけではなく、小魚などは食べます。
絶対にダメというルールは無いので、実はそこまでストイックでは無いマクロビ。食生活の乱れが気になる時に、短期的に試してみるのも良いかもしれません。

※マクロビオティックは桜沢如一が1930年代以降に提唱した手法であり、厳密には農産物の肥料や農薬、添加物や糖分・塩分など多数の項目の制限がありますが、今回は現在広まっている、一般的な入門レベルの考え方を記載しています。

マクロビとオーガニックは関係あるの?

ベジタリアン、マクロビ、そしてオーガニック…どれも似ている印象の言葉ですよね。また、オーガニック食品・オーガニックレストランなど、「オーガニック」という言葉はマクロビよりも広く一般的に使われていると思います。
そんなオーガニックの日本語は「有機」。意味は「化学肥料や農薬、遺伝子組換え技術を使わない、環境にやさしい農林漁業や加工方法」ということなので、食事の方法ではありません。似ている響きですが、オーガニックはマクロビやベジタリアンとは全く違ったジャンルの言葉なのです。
例えば、有機栽培で育てた綿はオーガニックコットンですし、有機飼料を食べて育った豚はオーガニックポークになります。
しかし、マクロビは有機で育てられた農産物を推奨しているので、その部分では関係があると言えるでしょう。

関連記事
有機栽培(オーガニック)と無農薬栽培の違い

03世界と日本の菜食主義

世界と日本の菜食主義

欧米や宗教が盛んなアジアの国々に比べて日本はベジタリアンが少なく、ベジタリアンに対応できる飲食店も少ないのが現状です。東京オリンピックも控え、今後日本を訪れるベジタリアンの外国人の方はさらに増えると考えられています。
私たち日本人ももっと様々な食生活のスタイルへの理解を深めたり、柔軟に対応できる環境を増やしていく必要があるでしょう。

欧米は菜食主義先進国

ハンバーガーやステーキなど肉食のイメージが強い欧米ですが、ベジタリアンもたくさんいます。キリスト教の一部宗派で勧められていることもありますが、今は宗教上の理由だけでなく動物愛護や環境保護、健康上の理由でベジタリアンになる人が多いようです。
また、「ビーガン先進国」と言われるイギリスでは、BBCニュースによると、夕食の29%が肉や魚を含まない菜食であるとの調査結果も出ているそうです。

欧米ではベジタリアン・ビーガン食品のニーズが日本より高いのはもちろん、もはや特別なものではなくなっています。オーガニックや健康食品の専門店以外の一般スーパーの食品売り場でも、パッケージ自体にベジタリアンやビーガン認証マークをつけた商品が流通していたり、コーナー展開やプライスカードでの表示など、アイキャッチサインでわかりやすく伝えるための工夫もされている場合もあります。
カフェやレストランでも、メニューにベジタリアン・ビーガン向けの表示がされているのは珍しいことではありません。

観光に影響も!?日本の菜食主義対応の課題

日本を含むアジアでも、欧米と同じように、動物愛護や健康のためにベジタリアンになる人が増えているようです。しかし、日本のスーパーや飲食店で、ベジタリアン・ビーガン向けであることが一目で分かる表示を見たことはあるでしょうか?ほとんどいないでしょう。
日本でもNPO団体等が認証制度を行い、飲食店や食品で実際にマークを使用するなど、実際に動いている例も見られますが、まだまだ少数派です。

世界には様々な思想や宗教の人たちがいます。多様性=ダイバーシティという考え方がここ数年でかなり浸透してきましたが、「食のダイバーシティ」について考えたことがある人は、意外と少ないのではないでしょうか。
日本を訪れる外国人の数は2018年には3100万人を突破し(日本政府観光局発表統計)、10年前の3.7倍の数字となりました。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、この数字はさらに伸びるでしょう。
国際交友や観光力強化の観点からも、食のダイバーシティについて行政・民間企業・個人それぞれがそれぞれのレベルで出来ることを考えていく必要があるでしょう。

04まとめ

健康管理に必須の「食」。様々な食生活のスタイルを知ったり、試したりすることは、自分自身の健康増進のためにとても大切なことです。
海外では週に1回など、自分のペースでベジタリアン・ビーガン生活をするというライフスタイルもあるようです。日本でも週1回程度なら、簡単にお試しできるのではないでしょうか。
しかし菜食主義に限らず、食事は人によって合う・合わないがあるので、無理をしないことが何よりも大切です。

菜食主義のメリット・デメリット

ベジタリアンやビーガンほか菜食主義のメリット・デメリットの一部をご紹介します。

~メリット~
・動物や環境に優しいことをしているという自己肯定で精神的に健康になる
・デトックス効果で消化がスムーズになり、身体が軽くなる
・生活習慣病などのリスクが減る
・体臭が臭くなくなる

~デメリット~
・栄養が不足する(※栄養の知識をつけて実行しないと、動物性食品を取らないだけでは逆に不健康になる可能性が高い)
・食費がむしろ高くなるケースが多い
・外食など人付き合いが難しくなる

お互いを尊重することが大切

これからは世界も日本も、多様性=ダイバーシティが大切にされる時代です。食のダイバーシティももちろんです。
どちらがいいとか、菜食主義者・非菜食主義者と区別をするのではなく、お互いに尊重して理解し合いたいですね。

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