食と農業

TPPの影響と
求められる対策

今さら聞けない「TPP」をわかりやすく解説。
農業の転換期に求められる人材・対策も。

今さら聞けない!?
TPPとは?日本農業への影響とは

ニュースで耳にすることが多い「TPP」。しかし、TPPとは何か、農業にどんな影響があるのか、今一つわからないという方も多いと思いのではないでしょうか。TPPの基礎知識、日本農業への影響についてご紹介していきます。

01TPPとは?

歩行田植え機で稲を植えてる男性

TPPとは、環太平洋パートナーシップ協定(Trans-Pacific Partnership Agreement)の略称であり、環太平洋地域の国々による、貿易自由化を進めるための経済連携協定のことを言います。
モノだけでなく、サービスや投資、金融など幅広い分野において、自由貿易の障害となるものを取り除き、国境を越えた経済活動をスムーズに行えるようにすることが目的です。

TPPを簡単に言うと、加盟国間の関税を撤廃することによって、自由貿易の促進・拡大を図るために必要なルールを決めることと言えるでしょう。

参加国

TPP参加国の国旗

アメリカのTPP離脱が話題となりましたが、現在は日本のほか、カナダ・メキシコ・ペルー・チリ・ニュージーランド・オーストラリア・ブルネイ・シンガポール・マレーシア・ベトナムの11ヵ国です。

対象となる分野

畑で会議をしてる男性たち

モノのほか、投資やサービス、知的財産、電子商取引、政府調達など幅広い分野が対象となっています。対象分野であっても、全ての品目が対象になるわけではありません。

02日本農業への影響は?

TPPによる
日本農業へのメリット・デメリット

キャベツ畑

日本は人口の減少によって国内市場の縮小が予想されますが、TPP参加により自由化を進めることで、参加国による巨大市場に参入でき、輸出の拡大や経済の成長が期待できます。

消費者にとっては、海外から安い食品が入ってくるため、食材を安価で購入できるというメリットがありますが、その安全性については注意が必要になるかもしれません。

メリット海外での需要が拡大する!?

一面に育っているほうれん草

農産物の海外への輸出は、関税や検疫、流通費といったコストがかかります。TPP参加によって、関税分のコストがかからなくなり、今までより安く販売できるため、販売量の増加が期待できるでしょう。
近年、世界的な日本食ブームや健康志向の高まりが追い風となり、日本の農林水産物の輸出額は増加を続けていますが、関税撤廃によって、さらなる輸出拡大が期待されています。

デメリット日本の食の安全基準が低下する!?

採れたての人参とじゃがいも

食品の安全基準は国によって違います。日本で認可されていない食品添加物やポストハーベスト農薬が他国では使用が認められている場合があります。
輸入における安全基準が緩和され、日本の安全基準が揺らいでしまうと、食品安全性が損なわれる可能性があります。
※ポストハーベスト農薬:収穫後の保管中や輸送中に使用される防カビ剤や防虫剤

デメリット小規模農家の危機を招く!?

まだ青いトマトに水をあげてる男性

TPP参加に伴い、政府は「攻めの農林水産業への転換」を実現すべく、競争力を高めるための取り組みを行っています。
しかし、日本の農業は小規模農家の割合が高く、高齢化が進んでいるため、競争力の強化が困難な場合もあるでしょう。そのため、小規模で競争力の低い農家の離農が進み、さらに食料自給率の低下を招くのではないか、と懸念されています。
また、競争力強化のための大規模化や企業化が進んだ場合に、「地域農業を維持できるのか」という不安も高まっています。

03農産物(品目)による関税の違いと
その影響

米と牛肉とオレンジ

農産物(品目)によって関税の削減・撤廃の仕方は違っています。段階的に関税が引き下げられ、数年で撤廃される品目もあれば、16年後のものもあります。

米

コメ

コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、砂糖の原料が「重要5品目」として扱われています。重要5品目の一つであるコメ(主食用コメ)の輸入は、これまで輸入が規制されてきました。TPP発効後もこれまでの関税は維持しますが、新たな(国別)輸入枠が設けられることになりました。現行の関税は維持しますが、輸入は増やすということです。

牛肉

牛肉

牛肉も重要5品目の一つですが、現在の関税38.5%から発効16年目までに段階的に9%まで引き下げることとなっています。それでは、「輸入牛肉がどんどん入ってきてしまうのでは?」という懸念もありますが、輸入急増時に関税を引き上げる「セーフガード」という仕組みが導入されます。

オレンジ

オレンジ(生果)

現在、オレンジ(生果)の関税は、季節関税といって輸入される時期によって関税が違っています。国産オレンジの出回る時期に関税が高く設定され、競合を防ぐ仕組みとなっていて、現在は12月~5月が32%、6月~11月が16%の関税率となっています。
TPP発効から3年間は現在の制度が据え置かれますが、段階的に関税を削減し、8年目に撤廃されます。

※品目別関税参考:農林水産省資料「農政新時代」・平成28年3月

04今後求められる農業とは?
農家がとるべき対策

オレンジ

今後、日本の農業に求められるのは、競争力の向上だと言われています。関税撤廃により輸入が増えることはもちろん、輸出拡大のチャンスをつかむためにも、国際競争力が必要となってくるのです。

日本では農業をビジネスとして捉えている人が少ないというのが現状ですが、ビジネス的な視点を持つことが必要であり、「経営マインド」の向上が大変重要になってくると考えられています。
「担い手の育成」「生産性の向上」「ブランド化」「大規模化」などが、競争力強化に必要な施策として挙げられますが、ビジネス・経営の視点を持った農業経営がなくては成し得ないことと言えるでしょう。

これからの農業に求められる人材

どの業種においても、就職するにあたって経験や知識、技術が求められると考えてしまうかもしれません。農業においても、やはり栽培などの知識や技術が役立つと言えますが、求められる能力は多様化していると言えます。

経営能力はもちろん、販売や営業に必要なコミュニケーション能力、消費者目線を持っていること、新しい価値を生み出す発想力など、競争力が必要となる今の農業界では、さまざまな能力が求められています。作物を育てるだけでなく、付加価値を生み出し、販路を開拓するなど、業務も多様化しているのです。

近年の農業は多様化し、さまざまな農業経営が行われていますが、経営を確立することはもちろん、世界的視野を持つこと、同時に、地域に根ざすことなどがTPP発効による転換期に求められてくるでしょう。農業未経験者にも、さまざまな活躍の場があると言えます。

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