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食と農業

イチゴと歩む1年間

おやつに、デザートにと、食卓を彩ってくれるイチゴ。そのイチゴを育てている農家さんはどんな1年を送っているのでしょうか

2021年9月17日更新

真っ赤で甘酸っぱいイチゴの秘密を教えちゃいます!

某テレビ番組の調査で「日本人の好きな果物ランキング」が発表され、その1位に輝いたのは「イチゴ」でした。
日本人はイチゴが大好き。総務省の調査によれば、令和元年のいちごの一人当たりの年間購入数量は767gで、支出金額は1,150円となっていました。これはイチゴのパックに換算すると3つ分になります!4人家族の場合は合計12パックを買っている計算になるのは驚きです。
またイチゴを栽培する農家さんは平成27年時点で2万3千件以上にも上ります。こうしたイチゴ農家さんたちの頑張りが、我々の食卓に彩りを添えてくれているのです。

ではイチゴ農家さんはどんな1年間を送っているのでしょうか。イチゴという果物に焦点を当てて、農家さんの1年を一緒に見ていきましょう!

01日本のイチゴ事情について

イチゴの名産地といえば??

北海道から九州まで、全国各地で栽培されているイチゴ。その生産量の分布はどうのようになっているのでしょうか??
トップ5をランキング形式にしてみました!

    主要な品種 収穫量
1位 栃木県 とちおとめ 25,400t
2位 福岡県 あまおう 16,700t
3位 熊本県 ゆうべに 12,500t
4位 長崎県 ゆめのか 11,100t
5位 静岡県 紅ほっぺ 10,600t
資料:農林業センサス 令和元年産野菜生産出荷統計

やはりとちおとめで有名な栃木県が1位でした! 栃木の内陸型の気候は、夏と冬、そして昼と夜に大きな寒暖の差があり、 この寒暖の差が甘くておいしいイチゴをつくるのだそうです。
本来いちごの栽培は比較的涼しい環境が良いとされ、栽培適温は17~23℃。多雨湿潤の日本はそもそも栽培に向いていませんが、ビニールハウスなどの栽培技術が普及し日本でも育てられるようになったのだとか!

ちなみに輸入イチゴですと、その90%以上がアメリカからのものとなっています。アメリカでは主にカリフォルニアで栽培されることが多く、排水性の良い土壌がイチゴの栽培に向いているそうです。ちなみに世界で一番イチゴを作っている国は中国とのことでした!

旬っていつなの?

皆さんはイチゴの旬がいつなのかをご存じでしょうか。実は地域によっても旬は変わってくるんです!
関東以西の地域では一般的に12~2月頃に最盛期を迎えるとされており、イチゴ狩りなどの観光農園も1~5月頃をイチゴ狩りのシーズンとして定めているところが多い傾向です。しかし冷涼な北陸や東北では6月頃までイチゴ狩りを行っているところもあるんです!
さらに北海道は大きく気候が異なる北海道では6~7月頃がイチゴ狩りのシーズンとなっております。
ちなみに出荷量こそまだ多くありませんが、夏から秋にかけて収穫される「夏秋(かしゅう)イチゴ」という種類も北海道や東北、長野県の一部で生産されており、6~11月上旬に出荷されています。

元々ハウス栽培が行われる1960年代頃までは、イチゴの旬は春から初夏にかけてでした。春の暖かな陽気によってイチゴは目覚め、そこからじっくりと花と実をつけていく習性があったのです。実際にイチゴは夏の季語として俳句で読まれているんですね。
しかし現在、イチゴの需要が増えるのはクリスマスシーズンです。そこに合わせて人工的に旬を作り変え、現在のような「冬の果物」という印象がついたんですね!

02イチゴ農家さんの1年間

春~夏は?

ここから先は栃木県のとある農家さんの例を見ていきましょう。 春を迎え、4月~6月の時期には親株の定植(ていしょく)と子苗(こなえ)を増やす作業を行っていきます。イチゴは野菜のように種から育てるのではなく、苗を増やして栽培するのが一般的。苗を増やす元になる株を「親株」と呼び、親株から伸びる「ランナー(子苗)」を増やしていきます。親株から最初に伸びた「ランナー(子苗)」を1次ランナー、または太郎苗と呼びます。1次ランナーから2次ランナー(次郎苗)、2次ランナーから3次ランナー(三郎苗)……といったように苗が伸び、成長させていきます。おおよそで1つの親株から約50本のランナーがとれるそうです。

そこから7月~9月上旬の夏のシーズンに親株から伸びる子苗を切り離し、ポットと呼ばれる小型のプランターに植え替えて育苗していきます。この時にイチゴに花となる芽が育つのを促す為、標高の高い冷地で育苗したり、クーラーや地下水を利用した夜冷育苗など寒さを感じさせる技術も使われます。これは上で述べた収穫時期を調整するためなんですね!

秋~冬は?

9月中旬から10月にかけて、ポットに植えた苗をハウスに定植します。これが皆さんが思い浮かべやすいイチゴ狩りの光景ですね。そこから1ヶ月程度でハウスを覆うなどの温度調節や、根本をビニールで保護するマルチングを行うなど、順調に生育させるための管理を行っていきます。そして10月下旬ごろに咲いてきた花に向けてミツバチを放飼することで受粉がしやすい環境を整えます。この作業が実はとても重要で、あのきれいな円錐形にするためには必要になってきます。

そしてようやく開花から1ヶ月程度で実が大きく、赤く色づいて収穫の時期を迎えます。そこから日々収穫とそれに伴う調整作業が始まります。
これは翌年5月頃まで続き、並行してまた新しい親株から育てていくという流れです。

これらはあくまで簡単に説明しましたが、その他にもやるべきことは本当にたくさん!
長い期間をかけて農家さんはイチゴと向き合って栽培を行っているのです。

03イチゴの天敵!?

イチゴは○○に弱い!?

イチゴは非常に栽培が難しい作物と言われています。それは天候の変化と病気に弱いのが理由。
日照不足だと苗が弱く育ってしまい、逆に急な高温、強烈な日照はチップバーンと呼ばれる葉先やランナーの先が枯れてしまう症状が発生してしまう恐れがあります。
またイチゴの実は土に触れてしまうと病気(うどんこ病)になりやすいため、土に触れないように育てる必要があります。
加えてアブラムシも天敵です。そして夏の暑さに弱く、乾燥に弱く、冬でも水やりが必要、肥料が実につかないよう気を配るなど、気にかけることは山ほどあります。

こうしてみるとイチゴは天敵だらけ!栽培が難しいと言われるのも頷けますね。

出荷はとっても大変!

天敵はなにも難しい栽培だけではありません。イチゴの出荷作業において大きなウエイトを占めるのが手作業でのパック詰め。ピーク時には1日約5000パックの出荷調整作業を行っています。
大きさや重さを一瞬で見極め、バランスよくパックに配置していくことが求められるため、経験も求められます。慣れていないとたくさんの時間がかかってしまったり、せっかくのイチゴがつぶれてしまうなんてことも。それ故にたくさん収穫したくてもパックに詰める作業の手が回らないため、収穫適期を逃しイチゴの出荷ができないこともあるんだとか。せっかく収穫された美味しいイチゴが、食卓に並ぶことができないなんてそんなひどい話はありません!

そのため期間限定のアルバイトを農家さんで募集していたり、各地のJAがパック詰め作業を一部代行しそちらで求人を出していたりなど、シーズン中は求人が増える傾向にあります。

04まとめ

一年間という長い期間をかけ、農家さんはイチゴを管理し、調整し、大切に育てているんです。食べてしまう時は一瞬ですが、そこには非常に多くの手間と工夫が不可欠。 しかしこれはイチゴのみに言えることではありません。多くの作物では収穫·出荷期に人手を必要としています。第一次産業ネットではこうした農家さんの採用のお手伝いをさせていただいております。大変な作業ですが、それと同時に自分の手で作物を収穫することは何にも代えがたい達成感がありますよ!

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