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農業ビジネス

スマート農業が
日本の農業を
変える!

ロボット技術やICT (情報通信技術)を活用したスマート農業への期待が高まっています。

2019年11月19日更新

スマート農業が
日本の農業を変える!

スマート農業とは、ロボット技術やICT(情報通信技術)、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)等の先端技術を活用し、超省力化や生産物の品質向上を可能にする新しい農業のことを言います。
日本の農業は、農業従事者の高齢化・後継者不足に伴う労働力不足をはじめ、耕作放棄地の増加や食料自給率の低下など、さまざまな問題を抱えていますが、スマート農業は日本農業が抱える課題を解決、成長産業化する試みであり、推進が急務とされています。
そんなスマート農業の導入事例や課題、今後の可能性を見ていきましょう。

01スマート農業にはどんなものがある?

ポイントは見える化

畑を前にタブレット端末を使って調べ物をしてる農業従事者

農業で必要な生産技術やノウハウを習得するには、長い年月を要するため、農業は未経験者にとってハードルの高いものとなっていました。急速な人手不足が進む農業界において、これは非常に大きな問題です。
しかしスマート農業の登場により、熟練農業者の技術やノウハウ、判断などをデータ化して蓄積・活用することで、匠が長年の経験によって習得した「勘」や「コツ」を、新規就農者でも短期間で習得できるようになっています。

ロボット技術の活用

農業機械を高精度で作業するには相当な経験が必要です。トラクターや田植え機などで真っすぐ走るだけでも初心者には難しいのです。さらにはきつくて危険な作業も多く、若者や女性が農業を始める妨げにもなっていました。しかしロボット技術の躍進で、様々な作業の自動化による農作業の負担軽減や作業時間の削減が期待されています。
また、ロボット技術は中山間地域等の農業の活性化にも貢献します。例えば、傾斜地でも利用可能な草刈機、ドローンによる生育観察などはがこれにあたります。中山間地域に多い耕作放棄地の改善も期待されます。

自動走行トラクター

自動走行トラクター

誰でも熟練者と同等の精度・速度で作業を行うことができるようになるほか、作業に係る疲労が軽減され、より広い面積での作業が可能となり、超省力・大規模生産の実現が見込まれています。 人手不足が深刻な地域における農業生産の維持にも期待されています。
田植機やコンバインについても、衛星測位等の技術による自動走行システムの開発が進められています。

ぶどうを収穫してる収穫用ロボット

収穫用ロボット

人の手で行っていた収穫作業を、ロボットが行えるようになってきています。センサーによって、障害物や路面の状態を検知しながら走行し、作物の状態を確認して最適な熟度のものを判別、アームを使って作物を落としたり傷つけたりすることなく収穫できます。

畑の上空を飛行してる農業用ドローン

農業用ドローン

農業用ドローンは、農薬散布をはじめ、さまざまな用途で活用されています。農薬の散布は重労働であり、無人ヘリコプターを使用すると大変な生産コストがかかってしまうのですが、農業用ドローンの活用で、農薬散布の省力化・低コスト化が可能になりました。
また、ドローンで撮影した画像で生育状況のばらつきをマップ化し、ばらつきに応じて寮を調整した追肥を行うサービスも広がりつつあります。

情報通信技術(ICT)の活用

スマートフォンを使って作業のデータを見てる農業従事者

土壌の状態や天候、肥料、作物の品種、行った作業などをすべてデータ化し、作物の生育管理に活用することによって、品質を高め、収穫量を増やし、収益向上につなげます。農業は自然や天候に左右されますが、どのような条件の時にどうすべきなのか、データをもとに適切な対応ができるようになります。
また、データに基づいた生育管理は、発育の予測を行えるようになるほか、害虫の発生予測や農業気象災害の警戒・軽減も可能にします。

農業データ連携基盤 WAGRI(ワグリ)

2019年4月から、データ連携・共有・提供機能を有するデータプラットフォームである農業データ連携基盤WAGRIが本格的に稼働します。 今までばらばらに存在していた行政や研究機関等の公的データや、農業 ICTサービスを相互に連携させることが可能になり、民間企業によるシステム開発等 が促進され、これまでにない質の高いサービスの提供が期待されます。 また、WAGRIの機能を生産だけでなく加工、流通、消費まで強化・拡張することで、 フードチェーン全体でデータの相互活用を可能にするスマートフードチェーンシステムが2022年度までに構築される予定です。

※参考:平成30年度食料・農業・農村白書(令和元年5月28日農林水産省公表)

03スマート農業の導入事例

滋賀県・有限会社フクハラファーム

システム概要

  1. 日々の作業実績や使用資材、スマートフォンの専用アプリで撮影した水稲の生育状況などの写真をデータセンター(注)に蓄積。
    (注:大量のサーバを収容し、インターネット接続サービスや保守・運用サービスを提供する施設。)
  2. 蓄積したデータをもとに作業時間や生産コストの分析を行うとともに、インターネット経由で必要な情報を参照しながら、作業の振り返りや栽培管理の改善に向けた話し合いなどに活用。
  3. ICタグや温度センサー、カメラ、GPSなどを活用して農作業ノウハウを詳細に記録・蓄積して熟練ノウハウの伝承を図る研究開発の実証実験にも参画。
スマートフォン、各種センサーからのデータをデータセンターに蓄積することによる農業ノウハウ蓄積・参照イメージ解説イラスト

導入の背景・得られた効果

有限会社フクハラファームでは、農業者の高齢化・リタイアに伴い、非農家出身者などの若者を雇用して経営規模の拡大を進めていました。その中で、安定した収量・品質の確保のために、新たな農場管理の仕組を構築することの必要性を感じたことが、ITの利用に踏み出したきっかけになったそうです。

平成20年から民間企業の協力により実証実験に着手し、平成22年度からは九州大学・滋賀県農業技術振興センターなどが実施するITを活用した熟練ノウハウ伝承手法の研究開発に向けた実証実験にも参画しています。

導入者のコメント
  • 「百聞は一見にしかず」で、現場の状況を即座に共有でき、リスク回避や従業員教育に貢献しはじめている。
  • 作業実績を詳細に記録することで、作業の実態を具体的データに基づき把握でき、課題の抽出や改善策の検討に役立っている。
  • 新しい取組に参加しているという事が従業員のモチベーション向上になっている。
  • ICタグなどを活用することで、これまで記録できなかった詳細な農作業情報を記録することが可能となり、農作業ノウハウの蓄積が図れるようになってきた。

農林水産省IT 利活用の事例調査(平成25年度)を元に作成

山形県・仲田牧場

システム概要

  1. ほ乳作業を自動化し子牛を牛舎において群れでの飼育管理をしている。
  2. ほ乳ロボットは子牛の生育期間により3通りのプログラムを設定して、1日の給与乳量、回数、1回の飲乳量、授乳間隔が決められている。
  3. 子牛がドリンクステーションに近づくと子牛の首に付けたICタグにより個体認識を行い各子牛の適量を指導調節する。
  4. 毎日の授乳量や授乳回数、時間等の成長状況を、システムを通して把握することができる。
ICタグを用いた哺乳ロボットシステムと酪農者の関係解説イラスト

導入の背景・得られた効果

導入前は、カーフハッチという子牛を1頭ごと入れる小型牛車でほ乳を行っており、時間と労力が掛かる作業となっていましたが、ほ乳ロボットの導入で作業時間おや労力を軽減できるようになっただけでなく、子牛の個体管理が適切に出来るようになっています。

導入者のコメント
  • 子牛ほ乳に掛かる労力が減少した。(導入以前との比較では80%減少)
  • ほ乳作業の労力軽減で、他の牛の健康状態など個体管理に時間を回すことが出来る。
  • 子牛の感染防止、早期発見を図り、抵抗力のある牛を育て、良質で安定した生産を目指したい。

(平成25年7月19日時点)

農林水産省IT 利活用の事例調査(平成25年度)を元に作成

03スマート農業普及に向けた課題と対策

導入コストがかかる

スマート農業を実現するためには製品・サービスの導入が必要となりますが、多大な費用がかかるため、規模の小さな農家では、導入したくても簡単なことではありません。
しかし、リースでの導入によってコストを軽減したり、導入費用の一部が補助される制度を利用してすることも可能です。
さらに、農業経営コストの低減に役立つ機械を新たに製造するベンチャー企業等は、農林漁業成長産業化支援機構から出資を受けることもでき、スマート農業技術の低価格化が期待されています。

作業者の育成が必要

どんなに優れた技術が開発されても、実際に現場で活用されなければ意味を成しません。特に農業界は高齢者が多いため、最新技術の導入に消極的なケースも少なくありません。
政府は2025年までに農業の担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することを目指し、農業者の事例紹介等を行うスマート農業推進フォーラムや、農業者・民間企業・研究機関が参加するマッチングミーティングの開催など、スマート農業普及のために様々な取り組みを展開しています。

04スマート農業の実現で、広がる可能性

農業は、「きつい」「体力が必要」という印象を持っている人が多いです。また、農業には経験や技術、知識が必要であることから、農業を始めることは、とてもハードルが高いものだと感じている人も少なくありません。しかし、スマート農業の実現によって体力がない人も高齢者も、経験や技術を問わず活躍できるようになっています。

日本国内では人口減少が進んでいるものの、グローバルな食市場は急速に拡大しています。今後の日本農業は国内だけでなく、世界全体の多様なニーズを視野に入れ、成長産業としての発展も期待されています。その成長に「スマート農業」は欠かせない存在と言えるでしょう。

<特別レポート>国際 次世代農業EXPOで最新の製品をチェック!

2019年10月9日~11日の3日間に渡って幕張メッセで開催された、680社が出展する日本最大の農業・畜産の総合展「第9回農業WEEK」に参加してきました。
その中の「次世代農業EXPO」ゾーンで見つけた、これからの農業界を支えていく最新の製品を皆様にもご紹介します!

今回ご紹介するのは、産業機械などを取り扱う大手専門商社「ユアサ商事株式会社」さんのブースで展示されていた製品です。

まず最初に目についたのは、ホウレン草収穫ロボットです。

把持力を制御したソフトハンドにより、野菜を傷つけずに収穫作業を全自動で行えます。特殊なカメラで監視し、設定した箇所で根を切断することが可能とのこと。収穫した野菜はコンベアで収穫BOXへ収納されます。手作業に頼っていた収穫作業を自動化することで、省力化・低コスト化が実現できます。 また、葉物野菜は早朝に収穫するのがベストらしいのですが、早朝作業は人員の確保が難しいのが課題ですよね。そこをロボットが担ってくれることで、今後はベストなタイミング収穫された、より美味しいホウレン草を食べられる機会が増えるかもしれませんね! ちなみに、こちらのロボットは水耕栽培での他の葉物野菜への応用も可能とのことです。 生産現場で稼働している貴重な動画もご提供頂いたので、是非ご覧ください!

次に注目したのは、「農業ハウス用燃料タンクの残量を遠隔で監視」できるサービスです。

『スマート農業』と聞くと、一般的にはドローンや収穫ロボット等がイメージされやすいのですが、こうしたサービスも欠かせない技術の一つです!担当の方に詳しくご説明頂きました。
「実は農業ハウス用燃料タンクの小口配送は、配送担当者の経験と勘に頼った配送体制が一般的になっています。そんな現状の配送体制の問題点は①予想外の使用量により緊急配送が必要となる場合がある、②最悪燃料切れによる作物被害の可能性がある、さらに昨今の人手不足で③現状の配送体制を維持出来ない可能性が高まっている、という問題も出てきました。
燃料の使用者である農家の皆様は、実は③の問題点に気付いていないケースが多いと聞きます。配送側は、来年も配送体制を維持できるのか、再来年は恐らく何処かに委託する必要が出て来る…等の恐怖に近い危機感を感じているようです。
このような問題点を解決できるサービスが、遠隔監視による残量監視ではないかと考えています。このサービスは電話線不要・電線不要で、LPWAという携帯電話の電波帯を使った画期的なサービスです。
某JAとの共同開発が複数のメディアにも掲載され、西都市では既に、今季から来季にかけて全タンクに設置予定というように、サービスの信頼性も折り紙付きです!」

※こちらのサービスに関するお問い合わせは、
ユアサ商事株式会社 新事業開発部担当 大島(TEL:03-6369-1097)
にお願いします。

こうした様々な技術・サービスが結集して農業が、そして、私たちの日々の「食」が成り立っていると実感した展示会でした。
今後もスマート農業の進化から目が離せません!

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