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植物工場産レタスの

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植物工場産のレタスについて解説

2020年8月14日更新

植物工場産レタスは身近なところにいる!

倉庫のような屋根付きの巨大工場で、美味しいレタスが作られているってご存知ですか?
そのような工場を農業の世界では、閉鎖型植物工場と呼んでいます。
太陽の光を一切使わない閉鎖された環境で人工の光(蛍光灯やLED)を用い、人が環境を制御して農産物を生産する、まさに野菜作りの工場。
実はこういった工場で作られたレタスなどの農産物を、みなさんはすでに毎日のように口にしているんです。

01閉鎖型植物工場ってどんな工場?

閉鎖型植物工場ってどんな工場?

どんな条件が揃った場合に、閉鎖型植物工場と呼ばれるのか?
まず閉鎖型というのは「太陽の光が一切届かない屋根付き窓無しの環境」の意味です。
植物が太陽の光を使って光合成をしながら成長するのは、皆さん理科の授業で習ったと思いますが、閉鎖型では太陽光ではなく蛍光灯やLEDを使って植物が光合成しています。
さらに閉鎖された空間の中では、水や気流、気温、湿度、二酸化炭素濃度などの環境条件が、専用の機器とそれを制御するシステムによって機械的にコントロールされています。
そして生産する植物が育つための最高の状態を24時間ずっと維持しているのです。
つまり植物のための工場なのです。
農業の世界では、このような施設を閉鎖型植物工場と呼ぶようになっています。

大きな特徴としては、天気や季節などの自然の外部環境にまったく左右されずに、農産物を一定の環境で365日ずっと計画的に生産・収穫・出荷できることです。大きな台風が来ても、雨が1ヶ月間降らなくても、雪が降ってマイナス20度になっても、極端なことを言えばそれがもし砂漠であっても、閉鎖型植物工場の中で育つ野菜たちにとっては全く関係ないのです。
もちろん安定した電力供給が行われているかぎりという条件はつきますが。

代表的な農産物は「レタス」

現在、閉鎖型植物工場で栽培されているのは、主にレタスなどの葉物野菜です。
工場では土を使わずに養液栽培によって野菜を生育させています。
工場の栽培室は、ほぼ無菌状態に保たれており、雑菌や害虫が発生せず、生産されている野菜に付着する心配もありません。
そのため、洗わず食べられる野菜がスーパーやコンビニで並んでいるのです。

その代わり、栽培室への人間の出入りには徹底した防菌・防虫対策が必要で、例えば入室前には必ずエアシャワーや温水シャワーを浴び、栽培室用の作業着に着替え、帽子、マスク、手袋を着用します。
昼食やトイレに行った際も、再び入室するときには必ずシャワーを浴びなければなりません。
そのため科学研究所と見間違うような設備が実装されているのです。

収穫期は365日

閉鎖型植物工場で作られたレタスの卸価格・販売価格は、露地栽培のレタスと比べると若干高い傾向にあります。
しかし、高度な環境制御により1株あたりの生育期間の短縮が可能で、品質も安定しているため365日ずっと収穫ができます。
日本にはすでに1日あたり3万株以上のレタスを1年間毎日出荷している工場もあります。

毎日3万株のレタスを世の中に出していく工場!これは信じられない話かもしれませんが、事実です!

ただし、どんな野菜でも生育できるというわけではなく、レタスやグリーンリーフなどの葉物野菜の生産に向いているのが閉鎖型の植物工場です。
またキャベツ、白菜の様に葉っぱがまとまる野菜(結球野菜)も技術的に閉鎖型植物工場での栽培には不向きで商用レベルでの生産は行われていません。

※補足:トマトやイチゴなどの果実的野菜でも、植物工場で作られた商品がスーパーなどで出回っています。しかし、こちらは太陽光型植物工場という別の方式の植物工場で生産されています。

天候や気象に左右されないという強み

2019年も2020年も、台風や大雨による水害で、全国的に大きな被害が出ました。
いくつかの野菜の大産地も被害に遭っています。
結果として特定の野菜では一時的に価格が高騰しました。
そうした状況を鑑みると、たとえ災害が起きても、レタスなどの葉物野菜だけでも安定供給することができる閉鎖型植物工場の存在価値は市場にとって非常に大きいのです。
さらに今後の技術の進歩次第では、今はまだ商用レベルに乗っていない結球野菜や根菜類などの野菜まで、閉鎖型植物工場で大量かつ安定的に生産できる様になるかもしれないのです。

02閉鎖型植物工場産のレタスはどこで食べられるの?

閉鎖型植物工場を運営する企業で、レタスやグリーンリーフなどの葉物野菜の国内トップシェアを誇るのが、スプレッド社とバイテック社です。
すでに日本各地で複数箇所の巨大植物工場を運営していて、そこから全国に植物工場産の野菜を出荷しています。
では、いったいどのくらい作られているのか、気になりませんか?

大きなシェアを持つふたつの企業

両社のHPを参照してみると(※2020年7月現在)

●株式会社スプレッド
日産(工場計)51,000株/日(レタス1株300gで換算すると、約15.3t/日、約6000t/年)。

●株式会社バイテックベジタブルファクトリー
日産(工場計)81,000株/日(レタス1株300gで換算すると、約24.3t/日、約9000t/年)。

と、やはり大きな数字になっています。

国内のレタスの生産量は、統計上は現在のところ59万トン程度です。
ということは、この2つの企業が持つ閉鎖型植物工場で作られるレタスの国内シェアは、2.5%くらいだと計算できます。
この数字をどう見るかは意見が分かれる所ですが、「日本で食べられているレタスの100個のうち2〜3個は、上記の2つの企業が持つ巨大な工場の中で、土を使わずに作られている。」と言われたらどうでしょうか?
なかなか大きな割合だと思えるかもしれませんね。

植物工場産のレタスを食べている場所

植物工場産のレタスを食べている場所

では、商用ベースに乗っている閉鎖型植物工場産のレタスなどの葉物野菜を私たちはどこで食べているのでしょうか?
スーパーやコンビニに陳列されている“洗わず”食べられるカットレタスは、そのほとんどが閉鎖型植物工場産です。
衛生的で手間いらずだという付加価値があるので、露地生産のレタスと比べて少し値段が高くてもマーケットで勝負できているのです。
大手ファミリーレストランのサラダや、大手カフェチェーンのサンドイッチ、コンビニのサンドイッチに入っているレタス。
これらもそのほとんどが閉鎖型植物工場産です。
たしかに毎日、大量のレタスを使用しそうですね。
要するに閉鎖型植物工場の特徴が、大量に安定的に一定の価格で毎日仕入れたい企業の需要にマッチしているのです。

未来の野菜?機能性野菜の登場!

閉鎖型植物工場産の野菜が違った角度から注目されているのが野菜の成分調整です。
野菜を閉鎖型植物工場で作る場合、使用する溶液肥料などを工夫する事によって、生産された野菜に含まれる成分の量や糖度などを調整することができてしまうのです。
この手法で成分調整され、社会的に喜ばれている野菜を機能性野菜と呼びます。

例えば、低カリウムレタスが機能性野菜として有名です。
糖尿病の人はカリウムの摂取が不可なので、ほとんどの野菜を食べる事ができません。
しかし閉鎖型植物工場で成分調整して作られた低カリウムレタスなら食べる事ができるのです。

03まとめ

今回取り上げたレタス以外にも、商用ベースに乗っている閉鎖型植物工場産の野菜の種類はいくつかあり、グリーンリーフ、バジル、パクチー、豆苗、なども新たにマーケットに流通する様になってきました。

一方で、土で作ったレタスがなくなってしまうのかというと、そのような未来はまだまだ考えづらいです。
閉鎖型植物工場産の葉物野菜は本稿で解説してきた需要に対してマッチして有効なのであって、全ての地域市場や家庭の細かな需要に応えるためには、全国各地で活躍する露地野菜農家が生産する野菜が今後も必要なのです。

まとめ 今回、初めて閉鎖型植物工場の存在を知った方は多いと思います。
実は、植物工場の栽培を家庭で疑似体験できるLEDを使った水耕栽培のプランターキットが販売されています。
レタスやハーブなどが栽培でき、お子さんの教育用としても使えるので、興味を持たれた方は、インターネットで「水耕栽培プランター、家庭用」などのキーワードで検索してみてはどうでしょうか?おすすめです!

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