就農

独立して
新規就農するために
必要な4つのもの

独立準備~その現状まで
資金や農地の確保、
技術・ノウハウなど

新規就農に必要な準備と
独立の現状

農業を仕事にしたいと考えたときに「就職するよりも自分で農業経営をしてみたい」と考える人も多いでしょう。しかし、就農するまでの流れや必要な物などの情報を、どこで集めたらよいか分からないと思います。そんな、独立して農業を始めたい方々のために、新規就農する前にしておきたい準備をご紹介します。

01新規就農の種類

牧場主の手をなめる子牛

新しく農業界に就職するといっても、そのスタイルはさまざまです。“新規就農者”という言葉は、「新規自営農業就農者」「新規雇用就農者」「新規参入者」の3者をまとめて指します。

  • 新規自営農業就農者家族経営体の世帯員で、他の仕事から自営農業への従事が主になった者。
  • 新規雇用就農者法人等に雇用されることにより、農業に従事することとなった者。
  • 新規参入者土地や資金を独自に調達し(相続・贈与等で親の農地を譲り受けた場合を除く)、新たに農業経営を開始した経営の責任者及び共同経営者。

この記事では“新規就農”という言葉は「新規参入者」を指すものとします。つまり家族経営の継承や雇用就農ではなく“独立就農”としての新規就農について、独立準備~その現状までをご紹介していきます。

02独立しても新規就農とは

麦畑

新規就農とは、農業法人等へ就職して農業をすることとは違い、自ら農業という事業を興す(起業する)ことを指します。他の産業における起業と同様に、農業でも事業を行う為には資金や設備、場所などが必要です。つまり、経営者として持続可能な農業という事業を展開することを意味します。
さらに、農業を行う為には農村部に移り住み、農地を借りて農村で生活することになります。それだけでなく、農業用水、農道を確保するために地主の方との交渉などが必要になります。また、地域との円滑な関係を構築するためには、お祭りなどの伝統行事への参加など、農村社会の一員としての役割を果たさなくてはならないのです。
新規就農する際に意外と見落としがちなのが、作った農産物の販路です。新規就農を目指す方のほとんどが「販路」という問題にぶつかります。農作物を作れば自然と消費者が買ってくれる、なんて魔法のような話はありません。販路を探すための、地道な営業活動が必要であることを頭に入れておきましょう。

03新規就農に必要なもの

電卓と通帳

資金

新規就農するにあたって用意した自己資金の平均額は232万円で、就農した1年目に実際に必要となった金額は平均569万円(※新規就農相談センター調べ)。農地や住宅、設備・機械等を用意する費用のほか、売上が安定するまでの収入が無い時期の生活費のことも考えると、1,000万円程度は用意する必要があるといえます。

この金額をすべて自己資金で用意するのは難しいと思いますので、「農業次世代人材投資事業」や「無利子資金制度」といった国の支援事業を活用するのも一つの方法です。新規就農前に 資金の調達方法、営農資金・生活資金の計画をしっかりと立てておきましょう。

新規就農している農地

農地・住宅

新規就農する方のほとんどは、農地を借りるという形で農業を始めることになるでしょう。しかし、アパートのように、お金と身分証明書だけで簡単に農地を貸してくれるとは限りません。就農したい地域がある場合には、まず農業事業体等で研修させてもらいながら、他の方と信頼関係を構築することが大切です。 農地も重要ですが、新規就農者が住むための住居も大切です。農村部の住居に関しては、売り物件は地域の不動産業者に情報が出ていることもありますが、都市部とは違いマンション・アパート等の賃貸物件はほとんどないことが一般的です。しかし移住支援の一環で行政が空き家や町営住宅を斡旋してくれることもあるので、まずは移住先の市区町村に相談してみましょう。また、独立前に研修をする場合は、研修先が住居を紹介してくれることが一般的です。

手稲機で収穫

施設・機械

施設や機械を新規に導入しようとすると、多くの資金を必要とします。研修先等がある場合は、そこで使っているものを使わせてもらったり、中古の購入やレンタルの活用などで、できるだけ初期投資金額を抑えることも大切でしょう。

農家の技術を学ぶ

技術・ノウハウ

日本にはハッキリとした四季があり、地域ごとの気候に合わせた農業スタイルを選択することが、良い作物を作るために必要です。そのため、風土を無視した画一的なマニュアルを使ってしまうと良い作物が出来る可能性が大きく減ってしまいます。 まずは、将来的に独立をサポートしてくれる事業体で働きながら学んだり、自治体が行う研修などを利用して、新規就農したい地域で農業経験を積み、その地域に合った栽培技術やノウハウを習得しなくては、のちのち苦労することになります。

04データで見る新規就農の現状

就農時、特に苦労したこと

棒グラフ:就農時、特に苦労したこと

出典:全国農業会議所(平成28年度調査)

新規就農される方のほとんどは経営資源が無い状態からのスタートとなるようで、「農地」「資金」「技術」「住宅」の確保や技術の習得に苦労していることがわかります。新規就農は会社を興すことと同じで、資金もノウハウもない状態で起業することはとてもリスクが高く、実現困難だと認識しましょう。新規就農する際には、事前の下調べや準備をしっかりしておくことが必須です。資金は農地や住宅、施設などを買ったり借りたりするために必要ですので、自己資金1,000万円というのは決して大げさな数字ではないのです。

経営面・生活面で困っていること

棒グラフ:経営面で困っていること

出典:全国農業会議所(平成28年度調査)

棒グラフ:生活面で困っていること

出典:全国農業会議所(平成28年度調査)

経営面・生活面で困っていることを挙げていただくと「所得が少ない」「休暇が取れない」という声が多く、就農した後の経営を続けていくことの大変さが分かります。その他にも「資金不足」「労働力不足」など、ヒト・モノ・カネという経営資源の不足を訴える声が多いです。

農業所得による生計の成り立ち

円グラフと棒グラフ:農業所得による生計の成り立ち

出典:全国農業会議所(平成28年度調査)

棒グラフ:新規就農者の農業所得率

出典:全国農業会議所(平成28年度調査)

棒グラフ:農業所得の年商

出典:全国農業会議所(平成28年度調査)

円グラフを見てみると、新規就農者の7割以上が農業所得では成り立っていないことが分かります。収支が成り立っている方の販売金額をみると、年商で1,000万円を超えてくると生計が成り立つケースが多く、まずはそこを目標にするとよいでしょう。作物別でみると、酪農で8割以上の方が成り立っているという驚きのデータが出ています。

05新規就農者をバックアップ

農場と住家

新規就農は一次産業ですが、二次産業や三次産業の会社を興すことと何も変わりません。経営していくための資金調達や経営ノウハウ、農業技術の習得、設備・機器の整備など、さまざまなことが必要となります。新規就農には、十分な事前準備と下調べが不可欠です。 各都道府県や市町村の相談窓口のほか、全国には新規就農希望者を全面的にバックアップしてくれる事業体があります。独立前の技術研修から、農地や資金、更には販売先まで含めて支援体制が整っているところもあります。上手に活用することが大切でしょう。