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食と農業

食農の安全性をしめす
「GAP認証」とは

農業や食の安全に関する場面でよく耳にするGAP認証。地方自治体には独自の認証もあります!

2021年4月16日更新

食品の安心・安全が求められる今日、
明確な規定に基づいた認証が重要!?

人の生活の基礎である「食」、そしてそれを支えている農業。安心安全かつ安定した食の供給のためには、より良い農業の追求が必須ですよね。その「より良い農業の追求」、そして「食の安全」ということを考えた時、GAP認証という言葉を一度は聞いたことがあるかもしれません。

しかし、一口にGAP認証と言ってもASIAGAPやJGAPなどもありますし、地方自治体で独自に設けている認証もあり、詳しく知っている!という方はあまり多くいらっしゃらないのではないのでしょうか?今回は、食と農業の持続性を高めるための取り組みであるGAP認証についてご紹介していきます。(アパレルブランドのGAPではありませんよ!)

01GAP認証の概要

GAP認証とは?

GAPとは「Good Agricultural Practice:農業生産工程管理」という意味であり、食品の安全性や環境保全、労働安全などの持続可能性を確保するための枠組みを管理する取り組みです。近代農業で浮き彫りになっている環境問題や労働環境問題を解決していくために、食品安全・労働安全・環境保全の3つの柱を軸に構成されています。このGAP自体は、農場の規模や業態に関わらず全ての農業従事者が認識し、実践すべき行動を指しています。海外では、GAP規範という地域や環境に適した取り組みを明文化し、農家への補助金付与のための義務の1つとして実践を促進しています。それほど、GAPという本来あるべき農業を示した枠組みは大切なのです。
そのGAPを農場全体で実践し、より自社の安全性をアピールしたい!自分の農業経営を客観的に評価したい!と考えた企業が、審査を行っている認証機関に申込み、厳しい審査を超えた結果として得られる証こそがGAP認証なのです。

日本で取得可能なGAP認証には主に3つあります。日本国内での取り組みを見る「JGAP」、アジア圏での農業のあり方を見る「ASIAGAP」、そしてヨーロッパに端を発し世界120ヵ国以上で活用される「グローバルGAP」です。それぞれについては後ほどご紹介しますが、どの認証も国際的なスポーツイベントに提供する食材の選考基準にもなっている重要なものです。よりよい農業のやり方として農業に関わる全ての人が取り組むべき枠組みがGAPであり、そのGAPを確実に実践しより良い農場として認められる制度がGAP認証なのです。

SDGsとの関わり

SDGs

今日、世界中の共通の目標として叫ばれている「SDGs:持続可能な開発目標」と農業におけるGAPは強く関わっています。
元々、農業は地球環境と直接結びついている産業ですし、食糧の源としての役割も有しています。同時に、雇用が発生する場として、労働環境や福祉的貢献、エネルギーについての問題とも関係があります。
JGAP/ASIAGAPを運営する一般財団法人日本GAP協会はGAP認証を通じて、以下の7つの取組の実現を掲げています。

1信頼される農場管理
責任体制のルール化、機械・設備点検・整備のルール化など
2食品安全の確保
生産工程の明確化、農薬など資源の管理、リスクの評価や対策など
3環境保全の確保
地球温暖化対策、廃棄物の管理、生物の多様性への配慮など
4作業者の安全確保
作業者の労働安全対策、労働災害への備えなど
5作業者の人権福祉
労働基準法などの法令順守、差別・強制労働の禁止、健康状態の管理など
6家畜衛生の確保
管理獣医師などの健康管理指導、家畜伝染病予防法の順守など
7アニマルウェルフェアへの配慮
家畜に配慮した飼育環境の改善、アニマルウェルフェアに配慮した家畜の輸送など

それぞれの項目は、17つあるSDGs目標の複数と関係し、SDGsの達成貢献に寄与しています。
もちろん世界的基準でもあるグローバルGAPも同様に、持続可能な開発目標の達成を念頭に、世界中でより良い農業のあり方を追求しています。
認証を受けている農場だけでなく、農業に関わる人全員がこれらの目標とそれらに対する行動を意識し、地球環境に関わる産業を担う存在としてSDGsを引っ張っていきましょう!

02主な3つの認証制度

JGAP

JGAP ASIAGAP GLOBAL G.A.P
運営団体 日本GAP協会 FoodPLUSGmbH
(ドイツ)
対象品目 青果物・
穀物・
茶・
畜産物
青果物・
穀物・
農作物全般・
畜産物・
水産物
GFSI※1承認 ×
国内認証取得件数
※2
4,315 2,379 669
※1 GFSI(Global Food Safety Initiative)とは、グローバルに展開する、食品安全の向上と消費者の信頼強化に向け発足した組織
※2 令和2年3月末現在

JGAPは2005年からスタートし、2007年11月より国際社会に通用する日本初の第三者認証制度として取り組みが開始されました。一般財団法人日本GAP協会が運営を行い、大きく農産物と家畜・畜産物に分けられています。農産物ではさらに青果物・穀物・茶の3分類ごとに行われており、各分類ごとに作成されたリストに記載されている品目が対象となります。また、栽培から出荷までの工程が設けられており、分類ごとに工程での確認項目が異なります。家畜・畜産物では、牛・豚・鶏・牛の乳(生乳)・鶏卵の5品目が認証の対象となり、それぞれの農場によって認証される品目が異なります。

農産物と家畜・畜産物にはそれぞれ、認証の取得を支援する「JGAP指導員」と認証の審査を実施する「JGAP審査員」がいます。JGAP指導員には、指導実績を有するJGAP上級指導員としての登録もあります。JGAP審査員は、審査員補・審査員・上級審査員に分けられています。また、審査員となるためには、学歴や経歴、研修受講などの要件があり、誰もが登録できるわけではありません。

ASIAGAP

ASIAGAPはGFSI(Global Food Safety Initiative:世界食品安全イニシアティブ)という安全な食品の供給を目的とし、食品安全認証プログラムの承認も行っている国際的なNPOから正式に承認を受けたGAP認証制度です。JGAPが備えている食品安全、環境保全、労働安全、人権福祉や農場経営といった要素だけでなく、GFSIが要求する確認事項も盛り込まれており、アジア圏内共通の国際規格を満たしたGAPのプラットフォームとして位置づけられています。

2017年7月に運営元である一般財団法人日本GAP協会から発表され、2018年10月にGFSIの承認を取得しました。これにより日本発の民間認証が国際的に通用するようになり、国際間の輸出に強みを持つようになりました。
ASIAGAPの取得に関わる指導員や審査員の在り方は、JGAPと同様であり上級審査員や上級指導員が設けられています。しかし、JGAPと異なりGFSIの設定した審査の進め方に準拠する必要があるため、1日(8時間)以上の審査が求められたり、サンプリングによる非通知審査が行われる場合があります。

GLOBAL G.A.P

FOOD SAFETY

グローバルGAPはGLOBALG.A.Pとも表記される、文字通り世界基準としてのGAP認証制度です。 前身は、ドイツのNPOであるFoodPLUSGmbHという機関が策定したユーレップGAP(EUREPGAP)という認証であり、ヨーロッパを中心に普及していました。そして今日の全世界的な環境への意識の高まりと食の安全性への関心を受け、「持続的な生産活動」を実践する優良企業に与えられる世界共通ブランドとしての役割を果たす認証としてグローバルGAPへと生まれ変わりました。
世界各地の名だたる小売店の多くでの調達先の選考基準として重視されており、国際的なイベントでの食材調達先としての基準でもあります。安心安全な作物というだけでなく、不作などで国内からの仕入れが困難となった際に、国外であっても同品質の作物を簡単に見つけることができる判断材料にもなります。
特徴としては、農作物や家畜・畜産物以外にも水産・養殖にも適用されることです。何より、世界120ヵ国以上で導入されているため、販路が大幅に拡張されることが魅力ですね。

03地方自治体が設ける独自の認証制度

ここまで、国や国際単位でのGAP認証を紹介してきました。「スケールが大きい…」「もっと身近な認証はないの?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、日本の様々な地方自治体やJAも独自の認証制度を設けているのです!ここでは、その地方が実施している認証制度をみていきましょう。

東京都GAP

東京都が運営主体となって策定した東京都独自のGAP認証です。2018年より開始され、野菜と果樹を対象にしています。「東京農業振興プラン」に基づき、持続可能な農業生産と地産地消を推進するために策定された、都市農業の特徴を反映した独自のGAP認証制度であり、他のGAP認証と同様に食品安全や環境保全などを盛り込み構成されています。JGAPやASIAGAP、グローバルGAPと異なり、東京都内の農家限定の認証制度となりますが、取得審査費用無料かつ更新審査も無料のため、GAP認証として非常に負担が軽くなっています。

ちばエコ農産物

GAP認証とは少し異なりますが、千葉県が環境保全と食の安心安全に配慮した農作物認証制度として設けているのが「ちばエコ農産物」認証です。2002年から開始され、認証農産物には以下の5つのポイントがあります。

1化学合成農薬と化学肥料が通常の半分以下であること
2農薬の使用歴などの栽培作業を記録すること
3農産物の栽培前と収穫前の2度チェック
4審査員が実際に田畑に行き、現地を確認
5ちばエコのホームページ内で栽培情報が閲覧可能

この2つの認証制度以外にも、多くの認証が国内外問わず存在します。どの認証においても厳しい審査があることに変わりはありませんので、消費者として食材を購入する際にもぜひ、気にしてみてくださいね。

04まとめ

八百屋で野菜が並ぶ

今回、食の安全性を証明し、持続可能な開発目標に貢献する農業の認証「GAP認証」について紹介いたしました。世界中で食の源である農業の働き方や環境への意識の見直しがすすみ、GAPの取り組みを実施し、そして認証を取得することで内外に安心安全をアピールする企業が増えてきました。 現在、農業に従事しつつもまだGAPへの取り組みに満足していない方はぜひ、今後の見直しに活かしてみてください。そして、今後農業に携わってみたい、GAP認証を取得している農家について知りたい、という方はぜひ第一次産業ネットでGAP認証を取得している企業を探してみてください。一度実際にお話を聞いてみるのもいいですね。

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