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海外農業の現状と
日本農業との違い

農業大国アメリカ・オランダの特徴や
日本農業の現状とこれからを解説しています

農業大国と日本は何が違う?
海外農業の現状とは

海外の雄大な農場や牧場に憧れる人は多いのではないでしょうか。実際に、日本人向けの農業研修や農業留学は多いですし、海外展開を進める国内企業の求人も人気を集めています。 ここでは、「海外で農業がしたい」という方が知っておくべき世界の農業の現状・特徴について、詳しくご紹介していきます。

01海外農業の特徴、日本農業との違い

オランダの農業地帯

「海外」と言っても、国や地域によって農業に違いがありますが、農産物輸出額上位の国の農業をみると、何と言っても大規模農業(大農法)を展開しているという特徴があるでしょう。大規模農業を行っているアメリカやオーストラリアでは、広大な土地で農業を展開し、大量生産を行っています。 一方で、オランダは農地面積が日本の約40%(2012年)でありながら、大規模かつ最新技術を活かした農業を展開し、アメリカに次ぐ世界第2位の農産物輸出国となっています。

世界の農産物輸出上位国・ランキング

順位

国名

農産物輸出額の合計

1

アメリカ

1,449億ドル

2

オランダ

866億ドル

3

ブラジル

801億ドル

4

ドイツ

793億ドル

5

フランス

702億ドル

57

日本

33億ドル

資料:FAO統計

大規模農業の特徴と
日本農業の大規模化

近年は、日本でも大規模農業のメリットが見直され、規模の拡大が進んできています。農業大国で行われている大規模農業には多くのメリットがありますが、デメリットもあります。 従来日本では、狭い土地に多くの資本・労働力を費やし、高い収益をあげる「集約農業」が行われてきました。しかし、高いコストがかかるため、農産物の単価は高くなってしまいます。先に紹介した通り、世界の農産物輸出国ランキングで日本は57位となっており、世界市場での競争力は十分とは言えないのが現状です。そのため政府は、農業を成長産業とし、国際競争力を高めるために、農業の規模拡大による生産性向上に向け、さまざまな取り組みを行っています。大規模農業を展開する農業大国から学ぶことは多くありますが、日本はアメリカやオーストラリアと国土も違えば、風土も食文化も違います。大規模化とともに低コスト化・効率化を図ることは大切ですが、日本の地域特色を生かした農産物の多様性の維持、品質や安定的な供給も求められるでしょう。

アメリカの大規模農業

農業大国アメリカでは、雄大な農地と大型の農業機械を利用し、気候や土壌に最適な作物を大量に生産しています。生産を行う作物の種類はわずかで、労働生産性は非常に高くなっています。その背景には農薬や化学肥料の使用、農業機械の進歩などがあり、大規模でありながら少ない農業従事者で管理することを可能としています。

しかし、慣行農法による環境汚染などの問題やオーガニック食品の需要の高まりから、近年はアメリカでも有機農作物の生産が拡大してきています。

大規模かつ最先端な
オランダの農業

オランダの国土面積は、九州と同じくらいであり、その約半分が農地として利用されています。オランダは風車が有名ですが、風が強く冷涼な気候であり、土地も狭く、農業条件が恵まれているとは言えない国です。しかし、最新の情報通信技術(ICT)や環境制御技術を駆使した「スマート・アグリ」を導入することによって、土地生産性は世界TOPレベルを誇ります。 オランダでは施設園芸での生産が主体で、スマート・アグリを実践したハイテクな農業が実現しています。

日本も農地の集約化を進めていますが、オランダでは第2次世界大戦後から本格的な集約化を進め、農家1戸あたりの農地面積は25haと、日本の1.8haを大きく上回っています。(2011年、FAO統計) 農地の集約も、オランダの高い土地生産性を実現している要因の一つとなっています。

オランダの農産物輸出額
が高いのはなぜ?

オランダはEUの中心部に位置し、大消費国であるドイツと隣接しています。ヨーロッパ最大の港であるロッテルダム港を有し、加工貿易や中継貿易に有利な立地となっています。
オランダの大半の輸出先は、関税がなく、検疫や規制が少ないEU加盟国となっています。また、オランダは原材料を輸入し、加工して付加価値をつけて輸出する、農産物や食品の加工貿易の仕組みが確立しています。 これらを背景に、オランダはアメリカに次ぐ世界第2位の農産物輸出額を達成しているのです。

02日本農業のこれから

田んぼの中で作業するトラクター

日本の農林水産生産額は世界10位(2014年)となっていますが、輸出額は他国に劣ります。しかし、2013年より農林水産物・食品の輸出額が拡大していて、政府は2019年に農水産物・食品の輸出目標「1兆円」を掲げています。 日本の輸出額の成長は、近年の海外における日本食ブームが追い風になっていると言えるでしょう。日本の農林水産物や食品が、世界で認められてきているのです。海外における日本食レストランも急激に増加しています。 2013年に「和食」がユネスコ無形文化遺産に登録されことや、2020年に開催される「オリンピック・パラリンピック東京大会」を受け、日本の農林水産物や食品の魅力を、さらに海外に発信していくことが求められています。

グラフ:日本の輸出額の推移と海外の日本食レストランの増加
グラフ:日本の輸出額の推移と海外の日本食レストランの増加

日本農業の今後は?

日本食ブームは日本の農業におけるチャンスと言え、農業の活性化が期待されています。もちろん、農業従事者の高齢化など、日本農業はさまざまな問題を抱えていることも事実です。TPPをはじめとする貿易自由化の影響を心配する、農業従事者の声も少なくありません。 しかし、日本の消費者の健康志向や食の安全への関心の高まり、海外の日本食ブームの広がりなどを的確にキャッチし、ビジネスチャンスと捉え、農業に参入する若者や企業が増えています。 「儲からない」「農産物を作るだけの単純作業」という昔のイメージをお持ちの方も少なくありませんが、ブランド化や大規模化、6次産業化、輸出拡大などによる、さまざまなビジネスチャンスが眠っている産業であると言えるでしょう。

グラフ:日本の輸出額の推移と海外の日本食レストランの増加

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