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農業ビジネス

話題の「コンビニ農業」
って何?

身近にあるコンビニが八百屋になる? 今話題の「コンビニ農業」に迫ります!

2021年2月15日更新

コンビニは農業に活路を見出している。

今日において誰もが利用しているといっても過言ではないコンビニエンスストア。
コンビニと聞くと便利で身近だけど、お弁当やインスタント食品といった印象が強く、日常のお買い物で利用することはあまりないのではないでしょうか。しかし、誰もが聞いたことがある大手コンビニ各社が現在注力しているのが、「農業」という分野なんです!
決して新鮮さといったイメージが強くはなかったコンビニ業界。そのイメージを打ち崩すかのように、産直野菜の販売やカットサラダの拡販、さらには自社農園の運営や農業生産者支援などに力をいれつつあります。 食の流通の変化に伴い大きく動き出した「コンビニ農業」に迫ります。

01コンビニで野菜を買おう。

コンビニ農業の事情

これまでコンビニで買える野菜といえば、出来合いのサラダやレンジで温めるインスタント野菜などが主流でした。
しかし、近年食の安全性への意識や節約志向の高まりを受け、すべての小売業において新鮮さや安全性が求められるようになってきました。また、競争が激化するコンビニ業界での差別化や客層の変化への対応が、コンビニ業界全体にとっては急務なのです。
そこで注目されているのが青果物を取り扱う「農業」という分野です。女性やシニア層といった客層をターゲットに「日常のお買い物」へと参入すること。その狙いのために鮮度や安心性が確かな青果物の供給こそが「コンビニ農業」の根底であり、新たなビジネスモデルでした。そして、2009年・2016年に農地法が重ねて改正され、多様な企業の農業への参入が活発になりました。

改正農地法(2009)
  • 農業生産法人要件の見直し
  • 農業生産法人への出資制限の緩和
  • 賃借規制の見直し
  • 農業生産法人以外の法人による農地の借り入れを可能に
  • 目的等の見直し
  • 農地が地域に置ける貴重な資源である事、地域との調和に配慮した権利の取得を促進すること等を明確化。
改正農地法(2016)
  • 法人呼称の変更
  • 農業生産法人→農地所有適格法人
  • 議決権・構成員要件の改正
  • 農業関係者以外の者の構成員要件撤廃
  • 農業関係者以外の総議決権2分の1未満
  • 役員要件の見直し
  • 役員または重要な使用人のうち、1名以上が農作業に従事

こうした動きの中で、小売業界を牽引してきたコンビニ各社も農業との連携に力を入れています。野菜を使用した独自商品の開発や冷蔵・冷凍食品の導入、青果物の販売などを通じ、新たな客層の獲得・地域商業の場としての拡大を図っている今日の状況を「コンビニ農業」と呼称するのです。
しかし、やはり心配になることは「コンビニの野菜は本当に新鮮なの?」ということですよね。大手コンビニ各社では、それぞれのホームページ内にて、取り扱う青果物や加工品の安心・安全さをアピールしています。

コンビニ大手3社の主な取組み
ローソン
  • 全国18か所にて自社農園である「ローソンファーム」を運営
  • 「JGAP認証」取得に取り組む。2016年にはGAP普及への貢献が讃えられ「GAP普及対象2016」を獲得
    など
ファミリーマート
  • カット野菜のパッケージに鮮度保持能力の高いフィルムを採用
  • 食品衛生法よりも厳しい独自基準で品質管理体制を強化
    など
セブンイレブン
  • 低温管理の徹底。収穫から店舗販売まで、野菜に最適な低温を維持する中通システムを構築
  • 専用工場が全国に多数存在し、生産・加工と店舗への流通時間を短縮
    など

「おいしい・新鮮」といったイメージが作られつつあるコンビニの野菜。この機会に買ってみてはいかがでしょうか。

02自社農園の展開も!

大手コンビニ・ローソンが手掛ける「ローソンファーム」

農業への参入の一環として自社農園を所有するケースもあります。
その一例が「農地所有適格法人ローソンファーム」です。小売業の大手・株式会社ローソンが全国18ヶ所にて展開する、長期的な国産農作物の安定供給を目的とした農園です。

ローソンファーム千葉
提供元:『ローソンファーム千葉』

今日において、各地のローソンファームにて生産された農作物が、グループ内にて販売されるサラダや総菜などの原材料となって提供されています。このローソンファームでは、「中嶋農法」という土壌診断から作物に適した土づくりを行い、生育状態に応じた栄養を供給する農法を導入し、おいしく健康的な野菜生産を実践しています。
元々、株式会社ローソンは2005年から「ローソンストア100」という生鮮食品を中心としたフォーマットを展開してきました。業界大手としては、生鮮食品を扱うことは初めての取り組みで、今日における「コンビニ農業」の起源といえるかもしれません。 そこから、他社の追従や農地法の改正、食への意識の高まりを受け、生鮮分野の強化に繋がりました。そして、2010年に最初の自社農園となる「ローソンファーム千葉」を設立し、以降拡大を続けていくこととなりました。
私たちが考えるコンビニの野菜への印象を変え得る小売り各社の自社農園。普段コンビニで買っているサラダやカット野菜のおいしさや鮮度も日々成長しているんですね。

03「コンビニ農業」は農家に影響あるの?

人材不足解消に貢献

コンビニという異業種が農業に参入することは、農家にとってもよい影響があると考えられます。

人材的な不安

まずは、人材的な不安の解消に繋がりうる、ということです。今日、多くの農家が抱えている後継者問題という点について、他業種である企業が若手就農人材の採用に力を入れ、バックアップを行うことで、若い農業従事者の雇用や次世代育成にも貢献しています。さらに、自社農園を展開している企業の多くが地方雇用の活性化に寄与することも目的に掲げています。自社農園以外には、関係のないように感じてしまいますが、若手就農人材の成長や地域雇用の促進から、将来的な地域全体に良い影響があるとも考えられますし、就農への興味が高まる一因として「コンビニ農業」が作用するのではないでしょうか。

収入の安定化

もう一つの考えられる影響は、提携先農家の収入の安定化と経営体制の強化にあるといえるでしょう。

画像4

市場の価格に左右されることなく、安定した販路が確保され、収入が安定するでしょう。また、6次産業化への取り組みや、企業と連携した経営管理を行うことで、体制の強化が実現します。ただ、企業の下の農園では、欠品が発生してしまうと企業全体の商品生産に影響がでてしまうという厳しさもあります。それを防ぐために、企業や他の提携農園とともに中長期的な計画の立案が必須です。
そして、周辺地域にとっても企業とのコラボレーションや耕作放棄地の減少などのメリットもあります。企業も農業という分野をさらに理解し、良好な関係を構築するため、積極的に提携先農家・自社農園以外の農家とも交流を進めています。これまでに試したことのなかった経営のノウハウや、新しい関係をつくるのにも役立つかもしれませんね。

04まとめ

「コンビニ農業」は小売業の代表であるコンビニ各社が、農業という分野に新たなビジネスチャンスを見出し、参入している状況のことです。もちろん今日においてコンビニのみに限らず、多くの他業種が農業に進出をしています。 しかし、今や日本中どこにでもにあるといっても過言ではないコンビニで、スーパーと変わらない品質の野菜やサラダが買えるということは、このコロナ禍においても大いに便利であるといえます。農業界全体で叫ばれている若手人材の不足解消や、農家が得難かった経営体制の強化に企業が取り組むことも「コンビニ農業」の大きな特徴の一つです。
日々進歩を続ける技術を用いた、新鮮で健康的な野菜を全国に供給している「コンビニ農業」。
普段何気なく買い物をしているコンビニにある野菜に、ぜひ注目してみてください。

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