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衆議院議員 石破茂氏インタビュー

今後の農業経営者に期待することは?

今後の農業経営者に期待することはなんでしょうか。

本当にいいものをつくる匠の技を持つ農業者が、常にいい経営ができるとは限りません。良いものは作れるけど売るのは下手だという方もいるでしょう。そういう方には一番良いものを作ってください、その代わりマーケティングや販売は私がやります、というようなマッチングもあるべきだと思います。

販売という要素は必要不可欠なものです。ブランディング、マーケティングのような経営の基本的なスキルは、ともすると従来の農業者にはあまりなかったのではないでしょうか。そうすると「良いものを作ったのに買わない方が悪い」となってしまう。

また、今から十数年前、ある大企業が農業に参入して、結果的に大失敗した例もありました。それも、農産品の売り方を知らなかったからです。企業が参入する際にも、売り方を知っているという人たちと組むこと が大事でしょうね。

好事例では、愛知県でトヨタ自動車が農業をやってみたら非常にうまくいったという驚きがありました。トヨタの「カイゼン」のような意識は、実は農業者にも必要ですし、これからは IT を使った農業という概念も必須になっていきます。こういった感覚は、自動車などのモノづくりでは当たり前の話しで、農業も自動車も基本的に「モノづくり」と言う意味では一緒なのです。ですから、製造業をはじめとする他産業からの知恵を受け入れていくということも大変大事だと思っています。

株式会社の農業経営というのも、農地所有も含めてもっとあるべきだと思います。ローソンファームも好事例だと思います。ローソンが販路を確保し、農地にセンサーを入れて、水や温度の管理をするため、農地を集約しなくてもコストダウンができます。それで美味しいコメなどをコンビニで売ることができます。企業と農業者のマッチングというのは一番大事じゃないかと思うんです。

農業の技術は 70 歳になっても現役で通用します。これから先、それを普遍化し、機械化、IT 化が進めば、高齢者でもできる、初心者でもできるというのが農業の世界だと思います。

漁業に関しては、どうすればオープンになり、次世代に引き継がれていくのでしょうか?

漁業に関しては、どうすればオープンになり、次世代に引き継がれていくのでしょうか。

ポイントは資源管理、養殖技術、冷凍技術の 3 つだと思います。農業と漁業は農耕型と狩猟型ですから本来的には違うものです。そこで「略奪型漁業」と一部で言われたように、資源そのものが危うくなってしまったところがあります。その点の管理を行政がやらなければならないと思います。

養殖技術は、近畿大学のマグロが有名ですね。養殖は先ほどの例でいうと「農業に近い漁業」と言えるかもしれません。冷凍技術では島根県・隠岐諸島の海士町における CAS システムを使った岩かきの冷凍が有名です。これは解凍しても同じ鮮度で食べることができますから、高度な冷凍技術によって豊漁不漁の波を抑えることができます。資源管理、養殖、冷凍、この三つによって漁業は全く新しいステージに移行すると思います。

日本の海の面積は世界第 6 位、体積は世界 4 位です。この恵まれた環境で資源管理をしっかりと行う、養殖・冷凍技術を高める、そして経営という概念を取り入れる。これはある意味、白いキャンバスに絵をかくようなところがあります。だからこそ、他業種の漁業参入というのが出てきたのだと思います。そういう例はあちこちで増えてくると思いますし、企業型の漁業にもこれから先の可能性はあると思います。

食べ方の問題では、全漁連が提唱している「ファーストフィッシュ」というものがあります。昔と違って魚を丸ごとさばける人はほとんどいません。魚は切り身で売っているとみんな思っているわけです。だけど更にもうひと工夫して、少し温めれば、少し焼けば、出来立ての美味しい魚料理ができますよというところまで加工することによって、もっと魚の領域は増えていくはずです。

漁業の物流についても、氷水では重いですが、新しい冷凍技術を利用すれば重量はかなり軽くなります。離島の漁業を変えていくのはそういう最新の冷蔵・冷凍技術でしょう。これも面白いなと思っています。「いい魚取ってくるぞ」という漁師さんたちが別の業種とのコラボレーションをすることによって、魚が高く売れ、漁師さんの手取りが増えるようになれば良いと思います。

先ほどの海士町では、漁協が主体となって新規参入を募り、企業とコラボするという決断をしました。このような例が伝わっていけば、漁業は変わっていくと思います。

農業でも、漁業でも、林業でも、各地の成功事例をもっと多くの方に見て頂きたいと思います。私も「行ってみて初めて分かった」ということが多いですから。



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